遺品整理を誰がやるかは、家族構成や相続の有無によって異なります。正しい知識がないまま進めると、後でトラブルに発展するケースも少なくありません。本記事では、遺品整理を行う人の法的な位置づけや、相続放棄をした場合の注意点を解説します。

この記事を読むための時間：3分

遺品整理は誰がやる？基本的な考え方

遺品整理を行う人についての考え方は、以下のとおりです。

• 相続人が行うのが原則
• 家族以外が遺品整理を行う場合

相続人が行うのが原則

故人の遺品は、相続人が整理を行うのが原則です。相続人には財産を受け継ぐ権利がある一方で、遺品を整理し、必要なものを管理する責任も伴います。相続人が複数いる場合は、相談しながら分担して進めるのが理想的です。

家族以外が遺品整理を行う場合

遠方に住む家族や高齢の遺族に代わり、知人や第三者が整理を行うケースもあります。この場合は、必ず相続人の承諾を得たうえで進めることが重要です。無断で処分すると、のちに法的なトラブルに発展するおそれがあります。

遺品整理を怠った場合のリスク

遺品整理を放置すると、財産の管理ができなくなるだけでなく、衛生面や防犯面でも問題が生じる場合があります。放置された家財が傷み、価値を失うケースもあるため、早めの対応を心掛けましょう。また、故人が賃貸住宅に住んでいた場合は、家賃や契約期限を確認しておく必要があります。

相続財産管理人が選任されるケース

相続人がいない、または全員が相続放棄を行った場合は、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。管理人が遺品や財産を整理・清算し、残った財産は最終的に国庫へ帰属します。ただし、この手続きには時間がかかり費用も発生するため、相続人がいる場合は早めに整理を始める方が現実的です。

無断で遺品を処分した場合に想定されるトラブル

相続人以外の人が遺品を勝手に処分すると、法的トラブルに発展することがあります。現金や貴重品などを無断で持ち出した場合、横領罪に問われるかもしれません。故人の遺品を整理する際は、必ず相続人の承諾を得て、透明性のある手順で行うようにしましょう。

相続人が複数いる場合の遺品整理の進め方

相続人が複数いる場合の遺品整理は、以下の流れで進めるとスムーズです。

• 遺品の分配・処分方法を話し合う
• 代表者（窓口）を決めてトラブルを防ぐ
• 遺品整理を行う

遺品の分配・処分方法を話し合う

遺品をどう分け、どう処分するかを全員で話し合います。感情的なすれ違いが起きやすいため、冷静な対話を心がけましょう。話し合いの内容は書面にまとめておくと、後の誤解を防ぐことができます。

代表者（窓口）を決めてトラブルを防ぐ

全員が一度に作業に参加するのは難しいため、代表者を一人決めて進行役を担ってもらうと効率的です。代表者を通じて情報を共有すれば、誤解や認識のズレを防げます。信頼できる人を選び、明確な連絡ルールを定めておきましょう。

遺品整理を行う

話し合いで決まった内容に沿って、遺品整理を実施します。思い出の品や形見を優先的に分け、判断に迷うものは一時的に保留しておくのが賢明です。心身の負担が大きい場合は、専門業者に依頼するのも一つの方法です。

相続放棄をした場合の遺品整理の扱い

相続放棄をした人は、法律上「最初から相続人でなかった」と見なされます。そのため、遺品の整理や処分を行う権限はありません。ただし、葬儀の準備や形見分けなど、社会的な範囲での対応は問題にならない場合が多いです。判断に迷うときは、弁護士などの専門家に相談してから進めると安心です。

遺品整理を安全・円滑に進めるためのポイント

遺品整理をトラブルなく進めるためのポイントは、以下のとおりです。

• 事前に親族間で役割分担を決める
• 価値のある品物は専門家に査定を依頼する
• トラブル防止のため書面で合意を残す
• 信頼できる遺品整理業者に依頼する

事前に親族間で役割分担を決める

誰がどの部屋を担当するかを決め、作業内容を共有しておくとスムーズです。重複作業を避けるためにも、スケジュールを明確にしておきましょう。

価値のある品物は専門家に査定を依頼する

骨董品や貴金属など、価値の判断が難しい品物は専門家に査定を依頼することが大切です。思いがけず高額なものが見つかる場合もあるため、慎重に確認しましょう。正確な査定を受ければ、相続の分配や買取の判断を公平に進められます。

トラブル防止のため書面で合意を残す

親族間で決めた内容は、口頭だけでなく書面にまとめておくと安心です。後日意見が食い違っても、記録があれば冷静に確認できます。書面で残しておくことは、相続人全員の理解を揃えるうえでも重要な役割を果たします。

信頼できる遺品整理業者に依頼する

作業量が多い場合や遠方に住んでいる場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。仕分けから清掃、供養まで対応してくれる業者も多く、精神的な負担を軽くできます。信頼できる業者は見積もりや説明が丁寧で、作業内容を明確にしてくれるため、安心して任せられます。

法的ルールを理解してトラブルのない遺品整理を

遺品整理は故人の想いを大切にしながら進める一方で、法的な手続きへの理解も欠かせません。相続人の立場を明確にし、親族間での協力体制を整えることで、安心して整理を終えられます。信頼できる専門家や業者の力を借り、後悔のない形で故人を見送りましょう。